精神科医が弱った心におっさんずラブ療法を本気で推す理由

(ドラマ映画共にネタバレは全くなく、未視聴の人も興味を持ってくれるといいなと思って書いてます)

『先生、つらいです。』
患者さんたちは何を求めて精神科を訪れるか。めっちゃ雑にまとめると『心がつらい』。その中でもわたしが特に多く接するのがうつ状態の患者さんです。あ、うつ病うつ状態ってのはまた別ものなんですけど。これ書き始めるとまた長くなるので今回は省略します。
気分が落ち込んでるとか、不安とか、いらいら。落ち着かない。そんで診察で、何でそうなってると思う?てのを自分で考えて話してもらうんです。あれです風邪薬だってあなたの風邪はどこから?つってそれに合わせて飲むじゃないですか。心の病気も一緒。症状だけじゃなくて原因検索が必要。オープンクエスチョンでガンガン自分語り、内面と向き合っていただいて、こっちが解釈するんじゃなくて言語化することによってできたら自分で気づいて欲しいんです。わたしがやるのはあくまでお手伝い。
まーその結果多いのが、不安定な人って言葉の通り芯がブレッブレなことが多いですよね。落ち込む原因は具体的にあったりするんだけど、超打たれ弱い。すぐ折れちゃう。
わたしよく植物に例えて、幸せな状態は植物が高く長く上に伸びてることって表現してます。そのためになにが必要かというと自分の根っこや幹が太いことと、支柱がちゃんとあること。根っこや幹を強化するのってクソ大変だけど支柱を増やすのはそれに比べれば簡単なんです。支柱が例えば夫と子どもの二本しかなかったとする。その二本折れたらもうおしまいです。でも支柱が10本あったら2本折れたとこで倒れないんですよ。
ので、心の支柱をたくさん、たくさん作って欲しい。その支柱は他人に大きな迷惑かけなければなんでもいいです。てなるとオタクはね、支柱が増やしやすい。強い人種です。推しが多ければ多い=支柱が多い。強い。あと支柱を増やすには食わず嫌いせずとりあえずかじってみることが大事です。まずかじって、お、いけんじゃね?てなったらもうちょっと食べてみて、そんで合わなければ次へ。合えば支柱一本爆誕です。食わぬことにはわからない。そういう意味ではTwitterはいろんな話題が飛び交うのでおっなになに?て試食チャンスの宝庫です。知らないものは食えないので。
前置きが長くなりましたが、今回はそんな心の支柱にもなるし根っこ&幹の強化=心の本質強化、認知の歪みをわかりやすく爆笑と共にぶっ壊してくれるもののご紹介!です!!!その名もおっさんずラブ!!!!!

なんでこんなにおっさんずラブ推すかっていうと、単純に萌える~アガル~キュンキュンする~↑↑↑てだけでなくて、それに加えて普段わたしが診察で話すようにしてる『幸せとか普通に絶対の定義なんてなくて、もう自分が幸せだったらそれでいいのよ』てのがそこに詰まってるからなんです。落ち込んでる人は、自分と周りの価値観のずれが原因になってることが多々ある。

『普通、て何なん?』『その所属コミュニティーにおける価値観なだけで、そこからずれたら普通じゃないって言われちゃうだけで、普通、なんて勝手に特定コミュニティーが作ったもんなんだよ』『あなたのコミュニティーでの普通じゃない、が他のコミュニティーでは普通だったりする。そのコミュニティーの普通でいることがあなたの幸せなの?』てのが全部、全部入ってるんです。
ただコミュニティーていっても規模は様々で、ほんとはそのズレを感じてるコミュニティーから脱出して居心地のいいとこを探すのがベストなんだけど人生そう簡単ではないわけで。

そうやって『普通』に振り回されて窮屈な思いをしてる人たちに是非見て欲しいのがおっさんずラブです。
おっさんずラブってBLドラマでしょ。わたし腐女子じゃないしそういうのはちょっと(笑)て思って食わず嫌いしてるならもうほんと、ほんととりあえずかじってみ~見てみ~~~???BLだから楽しいってドラマじゃないんです。
世の中の『普通』と自分の気持ちがずれちゃって、でも自分の気持ちに正直でありたくて幸せになりたくて、でもやっぱり世間の普通に縛られて葛藤する二人のお話です。
前述の通り精神科の患者さんって自分の普通と世間の普通がずれてることでつらいなって思って来る人が多いです。ほら!それってこのドラマのメインテーマと同じじゃないですか!!!
ネタバレにならない程度にふわっとあらすじを書くとおっさんずラブでは田中圭演じる春田創一(33)が物語の中心人物になります。その春田が、同じおっさん達から求愛されます。ノンケの春田はそれで大パニックに。でも、でも最後は壁を乗り越えて世間一般の『普通に』女性と結婚して子どもができてってのとは違う形で幸せになります。壁を乗り越える=これまでのコミュニティーの『普通』の壁をぶちやぶる。自分の気持ちに素直に、自分主体の価値観での幸せを追い求める。
劇場版はドラマの続きで、この壁をもう超えた春田の感情表現のストレートさがすっごい。今度は逆に春田に壁を壊させる切っ掛けになった人物の方がクドクドコネコネ悩み続けます。ただ、これも最後は二人でまた壁をぶちやぶる。
そうやってドラマ、劇場版通して『普通』に縛られず自分の幸せな生き方を探そうよって教えてくれるのがおっさんずラブ!!!なんですよ!!!!!!
幸せってなんだろう、がオールインワン。
あとね、こういうメッセージ性(笑)溢れるクソ哲学コネコネすると重いつまらん感じになってくでしょ。おっさんずラブの素晴らしいとこは、大事なとこはちゃんと伝えつつコメディパートの面白さがすごいの。振れ幅がやばい。重いテーマのぶんコメディパートでぶちあげてくんの。まじ感情が忙しい。わたしドラマで声出して爆笑したのって流星の絆以来でした。
笑って泣いて、超ハッピーエンド。

あとBLだからいいわけじゃないって書いたけどBLだからいい部分もあって、感情移入しすぎないで済むの。あくまで第三者目線の見守りなの。当事者意識持っちゃうと納得いかないとこ突っ込んでイライラしちゃいません?そこがおっさんずラブの場合ファンタジーですからね。勿論突っ込みどころはあるんですけどファンタジーですから、もう気楽に、多目に見れるんですよ。

そしてファンタジーなのでおっさんずラブではLGBTの繊細な問題には基本的にはあんまり踏み込んで触れられていません。わたし的にはそれがすっごく良かった。そこに対するメッセージ性はいらないの。
きっとドラマ映画で描かれてない余白の部分でそういう葛藤が生じる場面もあると思う。でも、おっさんずラブではきっと敢えて描かれてません。描かれてる部分はただただハッピーです。映像作品は何を伝えるために作られるのか?それでいうとわたしはおっさんずラブからはラブ&ピース、幸せを追い求める姿勢のありかたを受け止めてもらえればそれでいいんです。性別なんてどうでもよくて、ただ二人の人間が壁をぶち破って愛し合い幸せになる。それだけの話です。

そんなハッピーの詰まった、世界が明るく見えるようになるおっさんずラブ療法を皆さんに是非、是非に受けて頂きたいです。
かじってみるにしてもね、お金と手間かかったらハードル高いでしょ。
それが!今なら映画のプロモーションでドラマがありとあらゆる動画配信サイトで無料なんです。スマホひとつで試食できるんです。
ちなみに二話からが真骨頂なので、第一話でウゲッないわーと振り落とされそうになっても二話までは見て欲しい。そんでそのウゲッないわーと思った価値観をぶち壊されてくれたらわたしはとっても嬉しい。ドラマ全部見て最高じゃねえかってなったら映画見に行ってください。更に笑って泣いて、幸せな気持ちになれます。こんなに得られるものがあって正規の値段でも1800円です。レイトショーなら1300円です。諸々のサービスデーなら1100円です。精神科の診察は10分で3割負担だいたい1500円です。自費診療のカウンセリング受けると1時間で5-6000円はとられます。映画二時間でこの値段やぞ。実質無料やんけ。
そして興行収入、観客動員数が上がれば続編が期待できるので何度でも見に行って周りにすすめてください。わたしはもっともっとおっさんずラブにハッピーをもらいたい。
ちなみに映画だけでも楽しめるってレビューちらほら見かけますが、200000000%楽しみきるならドラマ見てから行ってください。ドラマ見たことあるけど間隔空いちゃってる人も、もっかいドラマ見直してから行って欲しいです。連ドラの中での感情の変化、下積みがあってこその劇場版の春田さんです。もう別人です。連ドラ序盤との比較も含めてお前~成長したな~~!!!!て感動して欲しい。

とまぁもっともっと人気出て続編出ないかしらって期待する、私利私欲にまみれた真っ黒の理由でもこの長文を書き殴っております。
この文章最後まで読めた人でおっさんずラブ未視聴の人はとりあえず、見てみ~~~??(これ春田さんの口癖な)

で、見終わったあとでまたこの文章読んでなるほどたしかにって思ってもらえたら嬉しいです。以上!